3歳までの褒め方【実践編】

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告知:この記事は11月よりnoteに移行する予定です(一部修正して、有料化します)。

前回の記事(3歳までの褒め方【基礎編】)では、
「3歳以下の子どもは、より多くの称賛を必要としている」、
「3歳以下の子どもにも、プロセス・プレイズを用いたほうがよい」
という話をしました。

今回の記事では、この続編として「子どもにより多くのプロセス・プレイズを贈る」具体的な方法について解説していきます。

幼児前期の子どもに、より多くのプロセス・プレイズを贈るには

幼児前期の子どもに、より多くのプロセス・プレイズを贈るために必要なことは、次の二つです。

行動や姿勢に着目した褒め方を身につける
褒めるべき5つの機会を的確に捉える

行動や姿勢に着目した褒め方を身につける

乳児期から幼児前期の子どもに贈られる称賛のほとんどは、「やったー!できた」、「よく歩いたね」、「頑張った、頑張った」、「上手、上手!」、「お利口さんだね」、「すごい、すごい!」のような短いフレーズの言葉です。(01)

この中で、「よく歩いたね」、「頑張った、頑張った」は、明らかに行動や姿勢に焦点を当てた称賛(プロセス・プレイズ)です。
普段からこのような言葉を使っておけば問題ありません。

やったー!できた」は、「ついにできた」というときに使います。単に「結果」を称賛しているのではなく、「頑張った結果としての達成」に焦点を当てています。
子どもと喜びを共感する表現でもあり、プロセス・プレイズと同じ(もしかしたらそれ以上の)効果が期待できます。
どんどん使ってほしいフレーズです。

上手、上手!」、「お利口さんだね」は、パフォーマンスに焦点を当てた称賛です。すなわち、パーソン・プレイズです。
この年齢では、特に悪影響はないといいますが、このような褒め方は、できるだけ避けたほうがよいでしょう。

「上手、上手!」は、たとえば「よく描いたね」と言うことができるし、「お利口さんだね」は、「よく我慢したね」、「よくお片付けできたね」、「静かにしてくれてありがとう」のような言い方ができます。
このように、パーソン・プレイズはその評価のもとになる行動や姿勢に着目すれば、ほとんどがプロセス・プレイズに言いかえることができます。

すごい、すごい!」は、それだけでは何を評価しているのかわからないあいまいな表現です。
とても言いやすい言葉なので、つい口から出てしまいます。

この種の表現は、子どもが少し成長すると、パーソン・プレイズとして受けとめる可能性があるので、使わないほうがよいという人もいます。

しかし、子どもが成功した状況で使用すれば、プロセス・プレイズと同様に、粘り強さと自己評価を高めることが報告されており、日常的に使用しても、問題はなさそうです。(02)
心配なら、「できた、できた!」、「頑張った、頑張った!」のような表現を使っておけば、間違いはないでしょう。

子どもを褒めるべき5つの機会

乳児期から幼児前期は、次の5つの機会を的確に捉えるようにすれば、褒める機会にこと欠くことはないでしょう。

① はじめてできたら褒める

乳児期から幼児前期は、褒める機会の宝庫です。次々と新しいことができるようになっていくからです。
歩けるようになる、積木を積み上げられるようになる、スプーンを使って自分で食べられるようになる、公園の階段を一人で登れるようになる、形のあるものが描けるようになる、自分で服を着られるようになる、三輪車を自力で漕げるようになる、自分でおもちゃを片づけられるようになる、・・・ 
例を挙げたらきりがありません。

親は、子どものそういった行動を見守り、はじめてできたときには、「やったー!できた」などと言って喜びましょう。
そうすると、子どもはどんどんトライするようになります。

② 前よりも進歩したら褒める

何かができるようになると、それを繰り返すことによって少しずつ進歩していきます。
前よりも進歩したことが見てとれたら、「すごい、前よりも上手になったね」などと言って褒めてあげましょう。
このような習熟の称賛は、のちの熟達志向に通じます。

③ 自分からやろうとしたら褒める

子どもは、1歳、2歳、3歳と進むにつれて、いろいろなことに対して自分でやりたいという欲求が強くなっていきます。たとえば、自分でコップにジュースを注ぐ、自分で滑り台に登る、親の補助なしで三輪車を漕ぐ、自分で服を着る、といった具合にです。この機会を利用しない手はありません。

そのような行動が見られたときには、「自分でやるの、偉いなあ」などといって褒めてあげましょう。そうすることで、自発性、自主性が育まれます。

④ 一生懸命やったら褒める

いろいろなことができるようになり、それが形になってきたら、その成果に対して一生懸命やったことを評価します。「(絵を)よく描いたね」と褒めれば、次も一生懸命絵を描こうとするし、「よく歩いたね」と褒めれば、もっと長い距離でも頑張って歩こうとします。

また、成果に関係なく、試行錯誤する姿や粘り強くやっている姿などが見て取れたら、それを褒めるようにします。

このような称賛を続けることで、子どもの頑張ろうとする意識が育まれていきます。

⑤ 最後までやったら褒める

④と似たような状況で、完遂に焦点を当てるやり方もあります。たとえば、試行錯誤してやっとパズルを完成させた、時間はかかったけれど独りで服を着ることができた、といったときには「最後までよくやったね」などと言って褒めるようにします。子どもの発達の段階に応じて、少し困難なタスクを用意してあげると、このような機会が多く得られます。

子どもが手こずっている状況は、むしろチャンスです。
子どもが途中で投げ出しそうになったら、励ましたり、少しだけ援助したりして、最後までやり抜くように導いていきます。
困難を乗り切ったときに贈られるプロセス・プレイズは、粘り強さや習熟意欲をとても効果的に高めるでしょう。

ポイントは、子どもにとって少し難しめタスクを用意してあげることです。
そうすると、このような機会がより多く得られます。

まとめ

幼児前期の子どもに、より多くのプロセス・プレイズを贈るポイントは、子どもの進歩、自発性、頑張りに注目し、それを確実に捉えることです。

幼児前期までは、簡単な短いフレーズの言葉で十分です。どんどん褒めてあげましょう。

参考文献
  1. Gunderson, E. A., Gripshover, S. J., Romero, C., Dweck, C. S., Goldin‐Meadow, S., & Levine, S. C. (2013). Parent praise to 1‐ to 3‐year‐olds predicts children’s motivational frameworks 5 years later. Child Development, 84(5), 1526–1541.
  2. Morris, B. J., and Zentall, S. R. (2014). High fives motivate: the effects of gestural and ambiguous verbal praise on motivation. Front. Psychol. 5:928.
すみりょう

子どもの学びに関する多くの学術的知見を持っています。
また、6歳児から中高校生まで勉強を教えた経験があり、学力に与える学習の効果は、年齢が低いほど大きいことを痛感しています。
これらを生かして、効果的で再現性の高い子どもの学びのあり方や方法を提案していきます。よろしくお願いします。

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