折り紙が知育に欠かせない理由 ~ 始める年齢と効果的な遊び方

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この記事は、「折り紙」の知育遊びとしてのポテンシャルと重要性、効果的な遊び方について解説しています。

折り紙が知育に欠かせない理由とは

「折り紙」には、折り紙ならではの知育効果があることはご存じでしょうか?

あまり知られていませんが、折り紙には、空間認識能力の一つであるメンタル・フォールディング能力を鍛える効果があります(それ以外の空間領域への効果も確認されています)。

メンタル・フォールディング能力とは、「図形を折り畳んだあとの形状や図柄の配置などをイメージする能力」をいいます。
算数理科のパフォーマンスを予測するため、将来のSTEM(科学、技術、工学、数学)分野への適正に通じる重要な空間能力の一つと見られています。

実は、このメンタル・フォールディング能力が鍛えられる遊びというのが、なかなかないんです。
身近な遊びでは、折り紙と立体紙工作ぐらいでしょうか(それぞれ2Dと3Dで、空間領域が少し異なる)。
それだけに、折り紙の知育における役割は非常に大きいといえるでしょう。
空間認識能力を鍛える遊びとしては、立体ブロックパターンブロックとともに、知育に優先的に取り入れるべき遊びと考えられます。

折り紙には、ほかにも巧緻性が高められる、集中力・忍耐力がつく、やり遂げる力がつく、などの効果があるといわれています。
工作・組み立て・はめ込み系の遊び全般にいえることですが、こういった遊びをたくさんすることで、そのような資質が育まれる可能性もあります(実際にどの程度の効果があるのかは不明)。

折り紙は算数と理科のパフォーマンスを向上させる

先に述べたように、折り紙には、メンタル・フォールディング能力の向上を通じて、算数のパフォーマンスを向上させる効果が期待できます。

アメリカの小学生に、折り紙による空間トレーニングを施した実験があるのですが、このトレーニングによって子どもたちは、メンタル・フォールディングと算数のパフォーマンスの両方を向上させています。また、メンタル・フォールディングのパフォーマンスの向上が大きかった子どもは、算数のパフォーマンスの向上も大きく、両者の強い結びつきを示す結果となっています。(01)

さらに、メンタル・フォールディング能力は、理科の成績にも影響を及ぼします。

イギリスの小学生(7~11歳)の空間認識能力と科学の成績の関係を調べた研究では、メンタル・フォールディング能力が優れた子どもは、とりわけ物理と生物に関係する問題のスコアが高いことが確認されています。(02)

また、同じくイギリスの小学生(9~10歳)の空間認識能力と物理学学習との結びつきを調べた研究では、メンタル・フォールディング能力が物理学の概念理解に通じていることが確認されています。(03)

折り紙は何歳から始めるのがよい?

具体的に何歳から始めるのがよいとは言えませんが、メンタル・フォールディング能力への転移は5歳ごろから始まることがわかっています。(04)

したがって、3~4歳から始めると、より高い効果が得られる可能性があります。

一方、メンタル・フォールディン能力は、学童期を通して向上させられることもわかっています。(01)

したがって、小学生になってから始めても、決して遅いということはありません。

空間認識能力を高める折り紙の遊びかた

まず、幼児向けの折り紙の本やウェブ上に紹介されている折り図を用意します。

それをもとに作品を作っていくわけですが、幼児の場合、当面の間は親のガイドが必要です。

「こうやって斜め折っ三角にする、やってみて」という具合に、できるだけ具体的な空間言葉を使って説明しながら、手本を見せていきます。(マーカー部分が空間言葉です)

いろいろなところで話していますが、親が形状などの空間言葉を使うことは、幼児の空間認識能力の発達に重要な役割を果たします。

このようなやり方で、作品の難易度を少しづつ上げていき、ある程度のレベルに達したら、独力で折り図を見ながら作るように促していきます(促さなくても自然にそうなる場合が多い)。

ただし、折り図は、簡単な作品でも読み取るのが難しいことがしばしばです。馴れの問題もありますが、当分の間は、親の補助が必要になるでしょう。

折り図を見ながら作ることには意味があります。
まず、子どもは折り図を理解しなければなりません。
そして一つ折るごとに、折った形を、折り図に照らして確認することになります。
これは、メンタル・フォールディングの直接的なトレーニングにほかなりません。

まとめ

折り紙は、作品のモデルがたくさんあるので、少しづつ難易度を上げていくことができます。その意味でも、空間トレーニングには最適です。ぜひ、取り入れてみてください。

幼児におすすめの折り紙の本

おかあさんといっしょ 3~5才のおりがみ みんなで選んだおりがみ大集合!
作品数は60ちょっと。作品の折り回数は、おおむね5~8回。シンプルな作品が多く、「3~5歳」と名の付く本の中でもやさしめ。最初の1冊におすすめ。

おりがみはかせえぃくんの3・4・5さいのだいにんきおりがみ
作品数は62。折り回数は6~10回ぐらいのものが多い。どうぶつ、サンタ、お化け、魔法使い、といった男の子も女の子も楽しめる作品が多い。ほとんどの作品が、目や鼻や口などを描き加えて完成する仕様になっている。とにかく楽しさを追求した本。

5回おったらできあがり!!はじめてのおりがみ (おりがみ本シリーズ)
作品数は100。折り回数は5回となっているが、2つの工程を1つにまとめているようなケースもある。全体的にシンプルで、男の子も女の子も楽しめる作品が多い目や鼻や口などを描き加えて完成という作品が多い。

大人気!!親子で遊べる3‐5才のたのしい!おりがみ
作品数は100と多め。折り回数は6~10回ぐらいのものが多い。5回折り以下のシンプルなものから15回折りのもの、パーツを組み合わせひとつの作品を完成させるものなど、作品の幅が広く、長く楽しめる。一つのテーマに10近い作品があるので、子どもが興味を示さないテーマがあるとコスパは落ちる。テーマ:●どうぶつ●あそべるおりがみ●みずべのいきもの●おしゃれなおりがみ●のりもの●きょうりゅう●くさばな●たべもの●やくにたつおりがみ●むかしからつたわるおりがみ●ユニットおりがみ

モンテッソーリおりがみ 3・4・5・6才 切る・折る・貼るで才能が育つ
作品数は25と少ない。テーマ別ではなく年齢別になっている。一つ一つの作品に知育的な意図があり、そのせいか、幾何学的な形状・模様の作品が多い。子どもが好きな作品を選んで作るというよりは、1冊の本を最初から最後まで通してやる、というかたちになる。そのため親の関り方が重要になるが、それについては解説がある。

参考文献
  1. Burte, H., Gardony, A. L., Hutton, A.,& Taylor, H. A. (2017). Think3d!:Improving mathematics learning through embodied spatial training. Cognitive Research: Principles and Implications,2(1), 13.
  2. Hodgkiss, A., Gilligan, K. A., Tolmie, A. K., Thomas, M. S., & Farran, E. K. (2018). Spatial cognitionand science achievement: The contribution of intrinsic and extrinsic spatial skills from 7 to 11years. British Journal of Educational Psychology,88(4), 675–697.
  3. Hodgkiss, A., Thomas, M., Tolmie, A., & Farran, E. K. (2020). The associations between spatial skills and specific components of physics knowledge: a primary school classroom study on sound propagation.
  4. Harris, J., Newcombe, N. S., & Hirsh‐Pasek, K. (2013). A new twist on studying the development of dynamic spatial transformations: Mental paper folding in young children. Mind, Brain, and Education, 7, 49-55.

すみりょう

子どもの学びに関する多くの学術的知見を持っています。
また、6歳児から中高校生まで勉強を教えた経験があり、学力に与える学習の効果は、年齢が低いほど大きいことを痛感しています。
これらを生かして、効果的で再現性の高い子どもの学びのあり方や方法を提案していきます。よろしくお願いします。

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