【幼児の算数】合わせていくつ?(5までの数)~ 家庭でできるチェック&トレーニング(4)

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数の力を身につける18ステップ!
家庭でできるチェック&トレーニング【ステップ4】

習得目標年齢:4歳

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前のステップへ:【ステップ3】 「○個ちょうだい」(10までの数)

基数の原理が理解できると、さまざまな数の操作が可能になります。
「数を足し合わせる」操作はその第一歩です。

ステップ4では、たし算の前段階となる最も初歩的な「数のたし合わせ」を通じて、足し算の基礎となる概念の理解を促します。

【課題1】具体物を見ながら合わせた個数を求める(概念理解)

用意するもの:
 おはじき(色違いのものを4個ずつ)

手続き
  1. 子どもの前に、赤いおはじき3個(のかたまり)と青いおはじき1個を10センチほど離して置きます。
  2. 「おはじきは合わせて何個?」と尋ねます。

このような手続きを、5個までの任意の個数の組み合わせで行います。
なお、おはじきを色分けするのは、数構成の理解を促すためです。色は何でもかまいません。

[出題例]
①(1,1)
②(2,1)
③(1,3)
④(2,2)
⑤(4,1)
⑥(2,3)
※ (2,1)は、2個と1個を合わせる、という意味です。
チェックポイント

この段階では、サビタイジング(通常、3個か4個まで)か、「いち、に、さん、・・よん」と数え上げる方法で個数が把握できればよいです。
このとき、2組のおはじきを近づけてもかまいませんで

具体物を見ながら数を合わせることができたら、今度は具体物を見ないで同じ操作ができるようにします。(⇒ 課題2へ)

【課題2】具体物を見ないで合わせた個数を求める

用意するもの:
 おはじき(5個以上)、容器(カップやお椀)

手続き
  1. 子どもの前におはじきの山を置きます。
  2. まず、おはじきを3個カップに入れるように言います。
  3. 次に、おはじきを1個カップに入れるように言います。
    このとき、カップの中を覗かせないようにします。
  4. 一連の操作が終わったら、「カップの中のおはじきは何個?」と尋ねます。
    このとき、「指を使うといいよ」と言って、指の使用を促します。
    子どもがカップに入れた個数を覚えていないときは、「赤を3個、青を1個入れたよ」などと言って、入れた個数を再度伝えます。

このような手続きを、5個までの任意の個数の組み合わせで行います。

[出題例]
①(1,1)
②(2,1)
③(1,2)
④(3,1)
⑤(1,3)
⑥(2,2)
⑦(4,1)
⑧(1,4)
⑨(3,2)
⑩(2,3)
※ (2,1)は、おはじきを2個、1個の順にカップに入れる、という意味です。
チェックポイント

課題1と同様に、サビタイジングか、数え上げる方法で個数が求められればよいです。
ただし、課題2では、おはじきを直接数えることができないので、代わりに指を使います。
たとえば、3個と1個を合わせる場合は、次のように個数を求めます。

① 片ほうの手の指を3本立てる。
② もう片ほうの手の指を1本立てる。
③ サビタイジングによって、または立てている指を「いち、に、さん、よん」と数え上げて数を把握する。
練習のポイント

指がうまく使えない場合は、次のようにして数を合わせる練習をします。

  1. (教示者)おはじきをカップに3個入れる。⇒(子ども)指を3本立てる。
  2. (教示者)おはじきをカップに1個入れる。⇒(子ども)指をもう1本立てる。
  3. (子ども)サビタイジングによって、または指を数え上げて数を把握する。

指を使って計算することにはメリットがある

幼児期の計算では、指を使用することが推奨されます。

指を使って数を処理することが、初期の数的発達に機能的な役割を果たしていることや、高度な計算を行う神経ネットワークの構築に貢献している可能性があることが、複数の研究によって示されているからです。(たとえば、Jordan et al., 2008; Moeller et al., 2012; Crollen & Noël, 2015; Berteletti & Booth, 2016)

ただし、数的発達の順調な子どもは、幼児期こそ指を頼りに計算方略を進展させますが、就学期が近づくにつれて指の使用頻度を減らし、小学校の1,2年生で心的な計算方略に完全に移行します。(たとえば、Jordan et al., 2008; Poletti et al., 2022)

なお、指の果たす機能的な役割としては、次のことが挙げられます。

  • 指で数詞を具体化することが、初期の計算と数的理解を助ける。
    結果として、数的発達が促される。
  • 片手で5、両手で10を表すことができるので、10進法の理解に適している(5と10をまとまりとして意識しやすい)。
  • 数の構成、すなわち全体と部分の関係の理解に役立つ。
    たとえば、左右の手の指をそれぞれ5本と2本立てて「7」を表現すると、「7」と「5」と「2」の関係が指の構成から把握でる。
    さらに、2本の指を追加すると、「9」と「7」と「2」の関係が数えることなしに把握できる。
  • 指が計算方略の進展をサポートする。幼児の計算方略は、数概念の発達とともに進展するが、その方略に合わせた形で指を利用することができる。

次のステップへ:【ステップ5】残りはいくつ?(5以下の数)

参考文献
  1. Jordan, N. C., Kaplan, D., Ramineni, C., & Locuniak, M. N. (2008). Development of number combination skill in the early school years: When do fingers help? Developmental Science, 11, 662-668.
  2. Moeller, K., Fischer, U., Link, T., Wasner, M., Huber, S., Cress, U., & Nuerk, H.-C. (2012). Learning and development of embodied numerosity. Cognitive Processing, 13, 271-274.
  3. Crollen, V., & Noël, M.-P. (2015). The role of fingers in the development of counting and arithmetic skills. Acta Psychologica, 156, 37-44.
  4. Berteletti, I., & Booth, J. R. (2016). Finger representation and finger-based strategies in the acquisition of number meaning and arithmetic. In D. B. Berch, D. C. Geary, & K. Mann Koepke (Eds.), Development of mathematical cognition: Neural substrates and genetic influences (pp. 109–139). Elsevier Academic Press.
  5. Jordan, N. C., Kaplan, D., Ramineni, C., & Locuniak, M. N. (2008). Development of number combination skill in the early school years: When do fingers help? Developmental Science, 11, 662-668.
  6. Poletti, C., Krenger, M., Dupont-Boime, J., & Thevenot, C. (2022). The Evolution of Finger Counting between Kindergarten and Grade 2. Children, 9, 2, 132- 142.

すみりょう

子どもの学びに関する多くの学術的知見を持っています。
また、6歳児から中高校生まで勉強を教えた経験があり、学力に与える学習の効果は、年齢が低いほど大きいことを痛感しています。
これらを生かして、効果的で再現性の高い子どもの学びのあり方や方法を提案していきます。よろしくお願いします。

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